2 各教科目の分類と関連

●システム構築関連知識・技術・理論

現代社会において大規模化したシステムを解析、設計・製造、運用する技術は必須である。本科目群では、電気・電子ならびに機械の要素技術の習得、サブシステムを設計するための制御論理を形成する能力、さらにそれら各サブシステムを有機的に結合して高次のシステムを設計するためのシステム化能力を養成する。

電気的サブシステム
本科目群では、ハードウェア実現のための電気的知識および複合機器システムを設計、製作するために必要な電気電子工学分野の基礎理論を教授する。電気回路では電気をエネルギーおよび情報伝達の手段として利用するために必要な回路解析の数学的手法について学習する。電子回路ではアナログ・デジタルシステムを実現するために必要なトランジスタなどの半導体能動素子の原理および電子回路の解析・合成手法を学習する。電磁気学ではハードウェアの構成要素の動作原理およびその電気的特性を理解するために必要となる電磁現象について学習する。

機械的サブシステム
複合機器システムを設計、製造、運用するのに必要な機械工学・電子工学分野の基礎知識と技術に関連した内容を主として学習する。メカトロニクスT、Uでは、複合機器システムの全体を理解し、ハードウェア・ソフトウェアの全体構成とそれを構成する構成要素、作動原理、特性などを学習する。工業力学では機械の運動と力学的特性の解析能力、流体力学では流体力学的特性の解析能力、熱・統計力学では熱力学的特性の解析能力を培うための基礎知識を学習する。流体応用工学では流体動力を応用した機械システムについて学び、ロボット工学では高度な複合機器システムであるロボットについて、構造、制御技術、応用技術などを学ぶ。

ものづくりの技術
この科目群では、主にハードウェアに関係するものづくり技術の基本について学習する。機械・電気製図では製造する機械部品や電子回路を設計図に表現する手法を体験する。材料工学及び加工学では各種素形材の性質を理解し、それらを加工して設計図に示された部品を製造する過程について理論的側面から学ぶ。さらに、工作実習において各種加工技術を実際に体験する。精密工学では主として精密工作機械の構成要素をもとに、高精度運動、高精度加工を実現するための要素技術、設計技術、制御技術を学ぶ。

システム制御理論
この科目群では、大規模かつ複雑な対象をシステムとして認識し、そのモデルに基づいて問題解決を行う、すなわち、そのシステムの構造解明、対象に組み込むべき制御論理を設計、実装化する方法について学習する。自動制御では、動的システムの基礎ならびに周波数領域でのfeed-back、feed-forward制御系の解析--設計論を学び、制御工学では、制御論の基礎概念である可制御性、可観測性、オブザーバー理論、最適レギュレーター論など時間領域での制御系の解析--設計論を学習する。また、システム工学では、非決定論的なシステム、意志決定システムおよびゲームの理論などを学び、問題解決を直観ではなく、論理的に行う能力を養成する。

システム統合化技術
この科目群では、個々のサブシステムを統合し、コンピュータによって管理されたシステムを設計、製造、運用するために必要となる基礎的技術を教授する。計測工学では、各種計測技術の原理・原則および電子応用計測機器について教授する。振動工学では、機械システムに発生する振動の基礎理論と解析技術について教授する。設計工学では、システム設計の立場から初期設計・概念設計・詳細設計・設計評価について教授する。 生産システム工学では、製品が製造される過程の科学的管理手法について教授する。データ通信では情報を高速かつ経済的に品質を低下することなく伝送するために必要となる原情報と伝送信号間の変換理論(変復調の理論)、伝送路の特性に関するハードウェア技術等について教授する。