6 各講義の受講の仕方―――新入生を対象とする

本学科においてシラバスは、各教科の公式ガイドブックという位置付けを持っている。
各教科がどのような内容を、どのようなペースで教えてくれるのか、ということを知りたければ、このシラバスの各教科説明における概要、目的などを見れば良いし、どのように成績を決定するのか、ということを知りたければ、評価方法に目を通せば良い。
このセクションでは、新入生を想定し、各教科の受講の仕方と講義における常識などについて説明する。

6.1 高専における講義

高専の講義と中学までの講義との大きな違いはノートの使いかたに出てくる。まず、中学までノートを取ったことのないという学生は、直ちにノートを準備するべきである。これまで、本学科において、ノートを取ったことのない学生は、高学年時の進級において必ず進級に苦労するほど成績が悪化している。
高専において講義される内容は専門性の高い、高度な内容が多い。そのため、ノートするべきポイントは自分で判断しなくてはならない。
教員によっては大切な部分を集中して解説し、そのため、周辺の内容は諸君らの自学自習に期待する方もいらっしゃるし、逆にどの内容も同じ程度で講義をされる方もいる。講義内容全てが黒板に書かれるとは限らない、ということは重ねて注意しておきたい。教員は学生諸君の理解を助けるため黒板を使用するのであって、君個人が理解していない部分を板書して説明するとは限らないのである。
諸君らのノートは「黒板を書き写したメモ帳」ではなく、「各教員の話を理解してまとめた教科書の代わりとなるもの」でなくてはならない。
ノートの取り方が判らないというものは、「飯高茂/編・監修 微積分と集合 そのまま使える答えの書き方」(講談社)などが参考になると思われるので、一読をお薦めする。
高専の講義は、大学をモデルに行われる場合もある。大学における講義で、大学生は、講義を聞きながら、理解し、要点をまとめてノートに書くということが同時に求められる。高専は大学ほどではないが、ある程度まで、同時に全てをこなす必要がある。
もし、自分の理解力に自信がない場合は、シラバスの講義計画を基に、ある程度まで予習を行うことが必要である。
ノートは二種類準備しておく方が良いかも知れない。一冊は講義で使用し、もう一冊は、講義の終わった後、自室で講義内容をまとめるために使用する、というものである。復習はその日のうちに行うべきである。
図書館において、参考書を利用して該当する分野の問題を解き、きちんと理解できたかチェックすることなども行う方が望ましい。

6.2 質問の仕方

中学までと異なり、諸君らを教える教員は学位を持っていたり、社会に出て働いていた経験があるなど、豊富な専門知識と経験を持っている方である。
そのことを自覚し、教員に話しかける場合は、敬語を使用すること。敬語を話すことは、社会に出てから非常に役立つ。今からきちんと敬語の使用を訓練しておくと、就職にせよ、進学にせよ、諸君らに有利に働く。
質問は、講義中に行うものと、講義時間外に行うものの二種類がある。
講義中に質問をしても、講義の流れを大切にする教員の場合、その場ですぐには答えてもらえないこともあるようである。このような場合、講義が終わってから、再度質問に行くべきである。
学生からの質問の内容として、教員が困るものは曖昧な内容のものである。
諸君は質問を行うとき、最低限「どこが、どのようにわからないのか」ということを伝えるように努力するべきである。
講義時間外に質問をしにいく場合、オフィスアワーであっても、予めその教員の都合を聞いて、予約しておくことが重要である。教員に質問に行くつもりで予約したにも関わらず、諸君らの都合がつかなくなり、予約時間に質問が出来ない、ということは避けること。もし、そのような事態になったら、きちんと連絡し、その教員に謝罪しておくこと。

6.3 試験について

試験は中学の場合と質が異なる。最初の試験でひどい点数を取り、慌ててしまったり、しょげてしまったりする学生も出るようである。しかしこれは、諸君らの能力に問題があるわけでないことを保証する。
中学までの勉強方法と高専における勉強方法は、異なるものであり、それに慣れていないだけである。このことを肝に命じて、自己研鑚に勤めてもらいたい。

6.4 最後に

 高専の勉強は中学までの勉強と異なる部分が多いことを自覚しなくてはならない。寮で共同生活を送ることで自分の勉強のペースを見失うことがないように気をつけなければならない。生活の乱れが原因で成績が低下しても、その責任を取るのは学校や友達ではなく、自分自身である。大人としての責任ある行動を身につけるよう努力していただきたい。
最後に今後の高専生活が実り多き内容となることを願う。